わたしたちの現在地 深まる危機に目を凝らす

Last-modified: Mon, 04 Mar 2019 07:58:31 JST (1898d)
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(2018.7.29)
 うその答弁に文書の改ざん、言いのがれ、開き直り――。 日本社会はいま、危うく、きわどい地点にさしかかっているのではないか。

■忠誠が生み出す罪悪
 組織が間違いを犯している場合で、その組織の中から抜け出す勇気のない人間は、組織の間違いに加担せざるを得ない。 これはある意味やむを得ない行為なのかもしれないが、だからと言って、その人の犯した罪が許されるわけではない。
・組織の指示が間違っていることに気づかなかった罪
・組織の間違った指示に抵抗できなかった罪
・間違った組織から抜け出さなかった罪
・間違った組織を是正しようとしなかった罪
・犯した行為への反省のないことの罪

■奇っ怪な記録と記憶
 役人が、国のためではなく、省庁を守るためや自分たちの身を守るためとしても、法を犯すことは良くない。 国会議員は、国民の信任が得られなければ現在の立場が成り立たなくなるが、役人は特別に法を犯さない限り、辞めさせられることはない。 常に不安定な立場の国会議員とは違い、役人は、法を犯さず、犯したとしても、それが組織の外にばれなければ、組織員としての地位が保証される。 リスクを取って国のために尽くすより、組織として互いを守りあっていればそれで良いと、考えるようになっても仕方がない。

■手遅れになる前に
 役人が役人の評価をしている限り、組織が内向きになるのは、仕方がないことであり、それを改善するためには、役人の組織なり、一人ひとりが国のためにどのような貢献をしたかが外部から評価され、人事権が外部にある必要がある。

 法も犯さず、仕事もしない役人集団が、自らの組織の維持や拡大のみを求めることに生きがいを感じていることから脱して、政治家がしっかりとマネジメントできないと、日本の将来はない。 役人の働き方改革を行うのは、政治家だ。

朝日新聞 社説:「わたしたちの現在地 深まる危機に目を凝らす