イタリア政権 欧州統合の重責忘れず

Last-modified: Thu, 23 Jan 2020 22:53:31 JST (1572d)
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(2018.6.6)
 政治の混迷が続いたイタリアで、ようやく新政権が発足した。 3カ月前の選挙で第1党に躍り出た「五つ星運動」と、第2党の「同盟」が連立を組んだ。 税や年金など国民の暮らしに影響が深まるなか、旧来の政党は明確な打開策を語ることができず、国民は、理念よりも大衆人気に乗じたポピュリズム政権を選んだ。

 巨額の債務をかかえるイタリアに、EUは財政の引き締め圧力をかけているが、財政の引き締めのみで財政が改善するわけではない。 EU全体に言えるが、国内総生産を上げる政策なり、国民の努力なりが必要である。

 日本の政権も、ポピュリズム化しようとしている。 政権のポピュリズム化には、その政党や党代表の問題もあるかもしれないが、その政権を支持する国民に、今が楽しければよいというキリギリス的志向の表れもあると言えないだろうか。 一時的な人気取りに走るのではなく、大衆のための痛みを伴う本当の改革の断行が必要とされている。

 イタリア国民やEUは周りのせいにするのではなく、それぞれが自分の問題としてとらえた改革が求められている。イタリアだけでなくEU全体が、正念場を迎えている。

朝日新聞 社説:「イタリア政権 欧州統合の重責忘れず