ゴーン被告保釈 勾留のあり方見直す時

Last-modified: Sat, 09 Mar 2019 22:48:21 JST (1893d)
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(2019.3.7)
 会社法違反などの罪で逮捕、起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告が、裁判所、検察官、弁護人の三者で争点や主張を整理する手続きがまだ進んでいない段階での、異例の保釈をされたそうだ。

 勾留は、容疑者や被告が逃亡したり、証拠を隠滅したりするのを防ぐのが目的だそうだが、その恐れがあるという検察側の主張を、従来、裁判所は概して安易に認めてきていたようだが、外国メディアから前会長の身体拘束がいつまで続くかの注目が集まり、日本の刑事司法に対する批判も出ており、今回の保釈につながったようだ。

 検察側からは、今回の証拠隠滅対策の実効性を疑う声があがるそうで、裁判所が外圧に屈した感があるのはぬぐい切れないが、これが今後の容疑者の拘留のあり方が見直されるきっかけになるのであれば、前会長が有罪になるかどうかは別として、少なくとも前会長の貢献と言える。

 容疑者の身体的人権問題もあるが、弁護人との十分な準備を確保するという公平性の観点からも必要であり、証拠が確保された段階での容疑者拘留であれば、隠滅される懸念もないわけであり、これでは、有罪を前提とした拘留というか、検察優位の司法と言われても仕方がない。

 長期拘留問題の是非は別として、今回の外圧に対する裁判所の対応を見ていると、どこまで公平な裁判が期待できるのか逆に心配であり、裁判所には外圧に屈しない毅然とした判決をお願いしたい。

朝日新聞 社説:「ゴーン被告保釈 勾留のあり方見直す時