スバルの不正 背水の覚悟が必要だ

Last-modified: Fri, 16 Nov 2018 23:42:17 JST (2006d)
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(2018.11.7)
 9月に国交省に報告した時点では、ブレーキなどでの検査の不正は昨年12月までとしていたが、その後の調査で、不正が先月まで続いていた可能性があることが分かったと、自動車大手のスバルは一昨日発表し、乗用車10万台について新たにリコール(回収・無償修理)を届け出るそうだ。

 弁護士らの聞き取りに対し、検査員らは、検査をやり直したり不合格にしたりすると、作業が滞ることを、不正の理由に挙げたという。 スバルは、検査装置の改修や監視員の配置、再教育の実施といった再発防止策に加え、検査員への負荷を減らす対策を取るとしているそうだが、不合格になった場合に作業が滞るのは検査工程だけなのだろうか。

 部品が不合格になるということは、製造工程の品質が低下していることが考えられ、不合格になれば、製造ラインの見直しが発生し、作業が滞るということではないのか。 経営層からの無理な生産性の要求により、検査や製造の見直しによる作業の滞り回避要請が検査の不正を招いたのではないのか。

 再教育の実施とあるが、教育をすれば必ず不正がなくなるというものでもないが、再教育は非常に重要だ。
 検査の不正による数字のごまかしは少しぐらいなら良いだろうと考えることがいかに危険な行為か、
不正によってお客様を非常に危険な目に合わせるということ、
不正がばれたら会社に多大な損害をもたらすこと、
経営者は検査の不正をしてまで生産性向上を望んでいないことなどを
検査部門だけでなく、全社に徹底的に叩き込む必要がある。

 中村社長は一昨日の会見で「急成長にともなうひずみで、気の緩みがいろんなところであったのではないか」と述べたそうだが、急成長でどのようなひずみが発生して気の緩みが出たというのだろうか。 一般に、急成長にともなっての検査工程での不正の背景として考えられるのは、生産環境の変化や生産性向上要請に耐えられなくなって、品質が低下することだ。 製造部門に関心が薄い経営者が引っ張る企業に陥りやすい傾向がある。

朝日新聞 社説:「スバルの不正 背水の覚悟が必要だ