スポーツと暴力 今度こそ根絶をめざせ

Last-modified: Mon, 19 Nov 2018 23:21:55 JST (2003d)
Top > スポーツと暴力 今度こそ根絶をめざせ
(2018.11.11)
 5年前に日本オリンピック委員会(JOC)や全国高校体育連盟など5団体が、連名で「暴力行為根絶」を宣言したそうだが、暴言や脅迫を含む暴力的な指導を当然視するような体質が未だにあり、実現ははるかに遠そうだ。 狭義の暴力行為は当然根絶すべきだが、これはある意味、外から分かるので批判の対象になりやすいが、もっと深刻な問題は言葉の暴力というかパワハラであり、この改善の兆しすら感じないのが深刻な問題だ。

 大相撲協会の貴ノ岩問題では、直接暴力を振るったとされる日馬富士は処罰されたが、その背景にある、もっと大きなパワハラがなされた可能性については、まったく調査もされず、それを問題視しようとした貴乃花の方が排除された。
 アメフットについても、日本大学の悪質タックルをした選手はそれなりに処罰されたが、それを指示したとされる内田当時監督の関与は曖昧なままで、大学側は元監督の指示の有無を警察に任せて、積極的な解明をしようともしていないようだ。
 体操女子の五輪出場選手に対する男性コーチの暴力については、協会への対応が気に入らないということで不興を買い、今まで何ら指導もされていなかったのに、ある日突然、別件逮捕風に処分されたとの疑惑がある。

 たとえ本人のことを考えての指導であったとしても暴力行為は、許されるべきものではないが、その背景にあるパワハラとそれをもみ消そうとする組織の上層部の闇こそがもっと深刻な問題であり、この改善には自浄作用が期待できず、警察の関与も難しく、スポーツ庁などが中心になり、独立した真の第三者期間として公平な調査や裁定を担う仕組みを構築する必要がある。

朝日新聞 社説:「スポーツと暴力 今度こそ根絶をめざせ