ハラスメント 配慮を高める論議こそ

Last-modified: Sat, 14 Sep 2019 10:59:25 JST (1704d)
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(2018.7.2)
 嫌がらせやいじめを意味する「ハラスメント」について、国際的に論議が高まっている。 働く場での暴力や嫌がらせなどをなくすため、国際労働機関(ILO、加盟国187)は6月、法的拘束力のある条約をつくる方針を決めた。 これを機に日本でもハラスメントに対する意識を高めること自体は重要なことだ。

 本人はもちろん、周囲も、我慢の限界を超えないうちに、相談や通報ができて救済につながる窓口の設置は大切だ。 いろいろな教育や指導の現場で、何がハラスメントであり、どんな配慮が必要かを考え、論議する過程で、広く問題意識を共有することが必要だ。 ハラスメントがなされている現場においては、その加害者を罰するというより、被害が大きくならないうちに、ハラスメントの芽を摘めるような環境をつくることが求められる。 ただし、悪質なハラスメントに対しては、捜査権や逮捕権を持つ者による断固とした対応が必要だ。

 「ハラスメント」の特徴として精神的被害があり、この被害を法律として明文化することは難しく、世界各国の異文化を統合して法的拘束力のある条約をつくれるのだろうか。 杞憂かもしれないが、国連人権理事会の人権問題のような変な方向にいかないことを祈る。

朝日新聞 社説:「ハラスメント 配慮を高める論議こそ