二階氏の発言 「産めよ」の発想の罪

Last-modified: Sat, 14 Sep 2019 11:47:38 JST (1704d)
Top > 二階氏の発言 「産めよ」の発想の罪
(2018.6.29)
 自民党の二階俊博幹事長が都内で講演し、少子化問題にふれて「このごろ、子どもを産まない方が幸せじゃないかという勝手なことを考えて(いる人がいる)」「この国の一員として……みんなが幸せになるためには子どももたくさん産んで、国も栄えていく」と語った。 結婚も出産も、個人の自由だが、国民が誰も子供を産まなかったら、国が亡ぶというのは、小学生でも分かる理屈だ。

 地域ケアシステムとして、「自助・互助・共助・公助」という考え方がある。 確かに、公助のない社会システムには問題があるが、「公助」は補完であって、基本は「自助・互助・共助」であることを無視して自由を語ってはいけない。 子供に対しては、基本としては親が面倒を見(自助)、それで足りない部分はジジババなり近所なりが援助する(互助)のが本来の姿だ。 子育てを社会全体の問題ととらえて社会が支援を充実させることは、社会主義化することであり、そのような国を多くの日本人は望んでいない。

 同じ講演で、二階氏は今の日本に貧困問題がないかのような発言もしたようだが、恐らく絶対的貧困のことだろう。 それと比較し、相対的貧困(貧困率)というものがあり、日本はそれほど低くはない。 先進国で貧困率が高いのはアメリカだが、「貧困率」を裏返すと「富裕率」であり、所得格差である。 この「率」を下げることは、富裕層を減らすことであり、格差のない、共産主義国化を目指すことである。 国民が、社会主義化や共産主義化を望むことは自由かもしれないが、社会主義や共産主義の国には自由はないので、後戻りのできない一方通行だ。

朝日新聞 社説:「二階氏の発言 「産めよ」の発想の罪