働き方法成立 懸念と課題が山積みだ

Last-modified: Sat, 14 Sep 2019 11:29:35 JST (1704d)
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(2018.6.30)
 安倍政権が今国会の最重要テーマに位置づけた働き方改革関連法が成立したが、政府から提出されたデータは、モリカケ問題同様、信頼性や適切性の低いものが目立った。 悪い意味での忖度なのか、単に官僚のレベルが低下したのかは別として、政府というより、データを提供している官僚に問題があるのではないか。 今後は、速やかな審議ができるように、的確なデータの提供を願いたいものだ。

 一部野党は、労働を強いられている対価として給料をもらうという前提で、働き方法を議論しているような気がする。 これは、働くことの一面であることは否定しないが、多くの人は生きがいを感じるために仕事をしている。 労働か仕事かの区別は難しく、結果として、全員を単なる労働しかしていない労働者と見なすことはある意味仕方のないことだ。 そのような背景から、この高度プロフェッショナル制度(高プロ)は、仕事として働く者に焦点を当てようとする制度だと認識している。

 高プロの条件を年収で区別することが適切か否かは議論の余地があるかもしれないが、一定年収以上の人は、労働という認識で働いてほしくないとの考えだ。 仮に、一般労働者と同様の保護を求めるのであれば、一定年収以上を諦めることだ。 単なる労働者感覚で働きたいと考えるのは、その人の自由だが、本来の仕事をしたいと考える人の権利を奪ってほしくない。 企業側は、一般労働者に対しては適切な時間管理を行うが、本当に仕事をしたいと望む人に対しては、時間管理を本人に任せ、本人の意思を尊重し、仕事の成果で評価する仕組みを構築してほしい。

 共産主義や社会主義の思考では理解できないだろうが、表現の適切性は別として、今回の働き方改革の肝はここにある。 単なる労働ではなく、本当に仕事をする高プロが増えなければ、日本経済の発展はない。 日本経済の発展を望まないのは、一部野党やその労働者の自由だが、高プロの邪魔をしたり、妬んだりはしないでほしい。

朝日新聞 社説:「働き方法成立 懸念と課題が山積みだ