働き方法案 原点に戻り徹底審議を

Last-modified: Sun, 26 Jan 2020 22:37:32 JST (1569d)
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(2018.6.4)
 働き方改革関連法案が自民党他の賛成多数で衆院本会議で可決され、審議の舞台が参院に移る。 残業時間の罰則付き上限規制や同一労働同一賃金の議論一定年収以上の専門職を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度などを、参院で徹底審議されることが期待される。

 衆院では、厚生労働省のずさんな労働実態調査の問題があったり、些末な追及に終始する野党と、その追及を逃れることに終始する加藤厚労相の姿勢などで明け暮れた。 法案の目玉である残業時間の規制については、罰則付きで上限を定める。 繁忙月は、労災認定の目安とされる「過労死ライン」の100時間ギリギリの設定をしているが、一歩前進ということになるのだろうか。 同一労働同一賃金については、仮に総労務費が維持されるとすれば、正社員の待遇を引き下げて低い方を上げるということになるのだろう。 これによって、生産性が向上し企業の業績が上がれば、総労務費も上がることになるのだろう。 いずれにせよ、自由主義を標榜している国であれば、このような企業内の問題について政府がとやかく言うことではない。

 働き方改革は8本もの法案からなり、長時間労働の是正など低所得者層の働く人たちの健康や暮らしを守るための規制と、高プロという高所得者層の自立を促す規制緩和とが混在している。 これらを混在させることなく、分けて別々に速やかに審議されることを与野党に期待する。 まずは、官僚も含めた国会の中の働き方改革が必要だということか。

朝日新聞 社説:「働き方法案 原点に戻り徹底審議を