初の米朝首脳会談 非核化への重大な責任

Last-modified: Sun, 19 Jan 2020 15:16:37 JST (1576d)
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(2018.6.13)
 朝鮮戦争が休戦状態になってから65年、敵国同士だった米国と北朝鮮の首脳が初めて会い、握手を交わした。 最大の焦点である非核化問題や北朝鮮の体制の保証などが話され、日本を含む北東アジア地域の未来も左右する米朝会談で、2人が踏み出した一歩の意味は重い。

■非核化問題
 北朝鮮の核問題は、合意が反古にされる背信の歴史であり、慎重を要する。 トランプ大統領の提案は、経済制裁か非核化かの選択を北朝鮮に迫るものである。 非核化の目途がつくまでは現在の経済制裁を緩めない。 北朝鮮が経済制裁を早く解除してほしければ、早く非核化することである。 その非核化は、日・韓の費用的援助が前提だそうなので、結果として日・米・韓、3国の監視と支援にかかっていることになる。

■人権問題の監視
 人権問題については、北朝鮮は、自らの国家運営のあり方を改める必要がある。 その第一歩が、戦没米兵遺骨の収集、日本人拉致問題の解決や、政治犯収容所の解放である。 戦没米兵遺骨の収集については米国が、日本人拉致問題の解決については日本が個別に対応していくしかない。 日本は、非核化の費用支援などに絡ませて要求していけばよいように、トランプ大統領が仕掛けを準備してくれている。 政治犯収容所の解放なども、経済制裁の条件にしていけばよい。

■日本の関与
 非核化にかかる費用については日本と韓国が支援することになっているので、日本を無視して非核化が進むことはない。 日本は、米国の言いなりではなく、主体性をもって北朝鮮と適切に対応しなければ、帰ってくるはずの拉致被害者も帰れなくなる可能性がある。 日本は、費用支援という優位な立場を保ちながら北朝鮮に対応すべきであり、中国と連携しようとしたり、慌てて北朝鮮会談を求めたりすれば、日・米・韓の失敗を望んでいる中国の思うつぼである。 日・米・韓の連携が、これからの成否を握る重要なカギとなる。

 経済制裁解除は、日・米・韓との経済開放により、北朝鮮は経済発展につながり、北朝鮮の体制の維持・発展となり、将来的な南北統一へと向かうことを期待する。

朝日新聞 社説:「初の米朝首脳会談 非核化への重大な責任