外国人労働者 「人」として受け入れよう
■虫のいい政府案
「特定技能」という在留資格を設け、一定の技能と日本語能力のある外国人を受け入れる。 誰でも受け入れるのでは日本の生産能力が落ちていくだけなので、ある程度の技能を要求するのはやむを得ない。 外国人に日本語能力を求めるのは酷かもしれないが、日本で働くという意志を示していただくためにもある程度の日本語の修得と来日後の日本語能力習得の努力を求めることは必要だ。
長期間日本で働いてもらえるかどうかも分からない者の家族まで来日されたら、社会的負担だけが降りかかる可能性もあるので、当初は単身で来ていただいて、お互いに納得した段階で家族を呼ぶのが自然だ。 在留期間については、一定期間で帰国して母国のために活躍されるのも良いと思うが、日本で更なる技術を高めて働いていただけるのであれば、それを移民というかどうかは別として、日本で家族とともに長く続けていただいた方がありがたい。
就労を認める業種については、業界任せでも構わないが、日本としての受け入れ基準や人数(割合)は、社会的負担に耐えられるある程度の目安を政府として持っておく必要はあるだろう。
■未来像を国民に示せ
社会保障については、健康保険や失業保険に加入することを前提として、日本人と同様に対応していければ良い。 外国人への健康保険に関しては、日本滞在者に対象を限定しないと対象者が無制限に拡大する可能性があるので注意が必要だ。
家族を呼び寄せられる「熟練」の判断基準については、健康保険や失業保険の加入も含めて、当人と雇用者の双方の了解のうえ、5~10年の雇用契約が結べるだけの信頼関係が樹立できればそれで良いのでは。
技能実習制度については、「特定技能」の条件を満たさない者に対しての救済措置として残すのだろうか。 技能実習については、各種考え方があるのだろうが、未経験者に実技を教えながら就労させ、ある程度使えるようになったら一人前の仕事を与え、次に家族も呼んで上級を目指すという、三段階のステップがあっても良いだろう。
■労働力か、人間か
労働者には人権があり、大切な家族がいて病気もするので、健康保険だけでなく、家族の住居や日本語などの勉強環境が当然必要だ。 宗教環境の課題なども考えると慎重に対応しないといけない。
朝日新聞 社説:「外国人労働者 「人」として受け入れよう」