大山古墳発掘 全容めざす学術調査に

Last-modified: Sun, 18 Nov 2018 23:50:36 JST (2003d)
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(2018.11.10)
 国内最大級の前方後円墳として知られている「仁徳天皇陵」と伝えられる大山(だいせん)古墳(堺市)は、宮内庁が先月から、市と共同で発掘調査をしているそうだ。 宮内庁は「静安と尊厳の保持」を理由に、陵墓の本格的な学術調査には消極的だそうだ。

 誰だって、自分の先祖の墓を他人にほじくり返されたくはないが、まして、天皇家の陵墓ならなおさらだ。 被葬者が学術的に確定しないまま「天皇陵古墳」の呼称が定着することが、問題であれば、呼称しなければよいだけであり、考古学や歴史学の学会の都合に天皇家が合わせる必要はない

 政府が今年、百舌鳥(もず)・古市古墳群の世界文化遺産登録を目指すことを決めたそうだが、考古学や歴史学の学会だけでなく、ユネスコ(国連教育科学文化機関)などからも干渉されることになるとすれば、困ったことになりはしないか。 国内ならまだ天皇家をある程度尊敬の対象として理解できるかもしrないが、ユネスコが理解できるとは必ずしも期待できず、外国から単なる興味本位で天皇家の陵墓を見に来られるのは止めていただきたい。

 現在も続いている日本の王家の陵墓が、外国の既に滅びた歴史上の王家の墓と一緒にされても困る。 陵墓の保全などが必要であれば、天皇家が宮内庁の協力を得てすればよいことであり、一般の文化遺産の取り扱いと同じである必要はない。
 日本の象徴である天皇家を貶めることは、延いては日本を貶めることになることを確認しておきたい。

朝日新聞 社説:「大山古墳発掘 全容めざす学術調査に