大津のいじめ 7年経て根づかぬ教訓

Last-modified: Sun, 24 Feb 2019 21:29:25 JST (1905d)
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(2019.2.22)
 いじめ防止法の制定につながった、大津市立中の男子生徒が2011年に自殺した事件で、市はすでに責任を認め、亡くなった生徒の両親と和解しているが、大津地裁はいじめが原因と認めて、加害側の元同級生2人に計3700万円の賠償を命じたそうだ。

 いじめ防止法は、教職員らの情報共有を徹底し、学校が組織として対処することと、自殺や長期の不登校などの「重大事態」が起きたら、すみやかに調査に着手し、事実関係を解明することの、二つの柱を掲げているそうだ。 これらは重要なことではあるが、「いじめ防止」というより、「いじめ対策」だ。

 「いじめ防止」として重要なことは、日頃からいじめがいけないことであることの地道な指導と、過去に起きたいじめのしてはいけない具体的な実例の紹介や、そこでの被害者の思いや加害者の末路などを説明する必要がある。 「いじめ防止」として他に重要なことは、度を超したいじめに対しては、校内で一生懸命対応するのではなく、警察に中心になってもらって対応してもらう必要があるということだ。 その他に重要なこととしては、何事もそうだが、「いじめの早期発見」で、これはいじめかどうかなどと議論する前に、その芽を摘み取ることが必要だが、これをいじめの隠蔽だと誤解して対応してはいけないことだ。

 学校に限らず、どこの組織にでもいじめは存在するが、学校の場合は、被害者か加害者かは別にして、その対象が子どもだということだ。 今回の判決は「加害側は自殺を予見できた」ので賠償責任が発生したかのようだが、自殺が予見できないとしても、いじめである限り賠償責任は発生しうるのでは。

朝日新聞 社説:「大津のいじめ 7年経て根づかぬ教訓