孤立する米国 G7の真価が問われる

Last-modified: Thu, 23 Jan 2020 22:47:57 JST (1573d)
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(2018.6.6)
 米国は、すでに日本などに適用している鉄鋼・アルミ製品への高関税を、欧州やカナダにも発動した。 先週末にカナダで開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、通商問題をめぐり、「米国第一」を掲げる米国とその他6カ国の対立が起きようとしている。 今週末にはG7の首脳会議(サミット)も開かれる。

 世界貿易機関(WTO)は安保を理由にした輸入制限を認めているが、米国は、今、戦時中との認識なのだろうか。 欧州は移民問題や経済格差の広がりで体制の足元が揺らいでいる。 中国は軍事および経済の両面で徐々に力を増してきており、北朝鮮も核を持つ国家になり、独裁国家の脅威が増大してきている。 これら独裁国家と対峙できるのは、現状、米国しかない。

 米国が日本や欧州の経済力の底上げを目指して疲弊するより、これら独裁国家に敢然と立ち向かっていけるだけの経済力および軍事力をつけてもらうことの方が優先するということなのだろう。 お互いに足を引っ張りあっている欧州連合(EU)の支援も大切かもしれないが、米国や英国がEUに足を引っ張られているうちに、真の自己中の国である独裁国家に世界が飲み込まれる愚だけは絶対に避けなければならない。

 軍事力を持たない日本としては、米国を経済的に支援することによって近隣の独裁国家と対峙していくしか道はない。 日本は、民主主義や人権、法の支配などの価値の担い手として、独裁国家の甘言に乗らず、米国と連携を取って、それぞれの国が協力しあって国際秩序を安定させていく役割を担っていくことを、G7では主張してほしい。

朝日新聞 社説:「孤立する米国 G7の真価が問われる