巨大IT企業 消費者視点のルールを

Last-modified: Thu, 03 Jan 2019 23:22:15 JST (1957d)
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(2018.12.25)
 インターネット上の様々なサービスは、今や日々の生活に欠かせないインフラになっているが、その多くを一握りの巨大IT企業が提供している。 市場の独占や不透明な運営で消費者の利益が損なわれないようにする必要がある。 政府は未来投資会議で、「デジタル・プラットフォーマー(DPF)型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」を決めたそうだ。

 DPFとは情報技術やデータをネット上で使えるような「場」を提供する事業者を指しており、昔で言えば、国鉄や電電公社のような、社会経済の基盤を提供する設備事業であり、適切な発展を促しつつ、透明性の向上や公正・自由な競争が実現されることを基本原則とする必要がある。

▽サービス内容およびその価格体系そして品質維持状況などの取引条件を公表し、透明性を確保する必要がある。
▽消費者が他事業者に容易に移行できるよう、自分のデータを他のサービスに移せる仕組みを構築できる必要がある。
▽民間企業が一社独占にならないよう自由競争環境を確保できるような独占禁止法を適用できる必要がある。
▽上記のことが適正に実現されるような法の執行や政策立案に必要な専門組織を構築する必要がある。
▽国内事業者は当然だが、海外事業者も適用対象になるので、海外事業者に対しても、これらの法が適用できることが事業参入の条件となる。
▽特に海外事業者の場合は、海外に主要設備を有していることが考えられるので、課税の在り方も含めて、適切な法の適用ができる必要がある。

 海外の設備や人に日本の法を適用させることは現実的ではないので、当該国と日本が相互に管理可能な条約なりを結び、相互管理することが現実的であり、それができないような国に設備を保有している事業者は除外する必要がある。

 鉄道のような目に見えるものを運ぶ場合は、鉄道事故を起こして社会経済を混乱させるなどの弊害が想定されるが、DPFの場合は、目に見えないものを扱うだけに、情報セキュリティの各種脅威が想定されるので、慎重な事業者へのルールの徹底と、その順守の監視が必要になってくるが、事業者の民間企業としての自主性や技術の進展を阻害しないような柔軟性を保持する必要もある。

朝日新聞 社説:「巨大IT企業 消費者視点のルールを