巨大IT規制 独禁法での議論深めよ

Last-modified: Mon, 09 Sep 2019 22:33:49 JST (1693d)
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(2019.9.8)
 巨大デジタル・プラットフォーマー(DPF)による膨大な個人情報収集への規制が課題になっているようだ。 大企業が中小企業などに不利な取引条件を押しつけるようなことは当然いけないことであり、それが巨大企業であればなおさらのことだが、特にDPFの場合は、巨大企業による差別化は大きな意味を持つが、これを不用意に規制することは、資本主義社会での適切な競争を阻害しかねないので、注意が必要だ。

 他企業が参入できないような仕掛けが組みこまれているようであれば、独占禁止法の対象になるだろうが、新ビジネスの先行者利益を阻害するような規制をしないように注意が必要だ。 個人情報の収集に関しては、個人情報保護法に則るなどして、個人情報の保護に努めるのは当然として、個人情報の目的外利用については、細心の注意と監査が必要だ。

 収集した個人情報をその個人に見せることはビジネスの必要性に応じて良いとして、収集した企業自身は個々の個人情報ではなく統計情報のみを利用することを原則とすべきだ。 企業側が個々の個人情報を利用するような場合は、その利用内容を詳細に利用者に、個人情報利用規約のようなものを開示するだけでなく、分かり易い方法で収集者に開示することを義務付ける必要がある。

 他企業への開示など、個々の個人情報についての目的外利用をする場合については、個々の本人に対して具体的に説明のうえ、明示的に了解を求める必要がある。 DPFのみでなく、以前から金融機関などでもセンシティブな個人情報を収集してきているので、これらの業界も参考のうえ、目的外利用についての厳しい監査を求める仕組みが必要だ。

 「リクナビ」にはいくつもの問題があったのかもしれないが、個々の個人情報の他企業への無断流出が問題であり、仮に学生から承諾を得るとすれば、流出情報を具体的かつ明確に示し、そのうえで承諾を求める必要があった。 DPFは、情報の具体的な解析ロジックは企業秘密だとしても、情報をどのように収集し、その情報をどのように利益に繋げるかのビジネスモデルの公開を義務付ける必要がある。

朝日新聞 社説:「巨大IT規制 独禁法での議論深めよ