平成の30年 それでも、確かなことは

Last-modified: Sun, 06 Jan 2019 22:54:57 JST (1955d)
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(2018.12.31)
 平成最後の天皇誕生日の一般参賀に、平成最多の82,850人で祝ったそうだ。

■格差拡大と「成熟」
 昭和末期のバブル時代に「格差社会」の問題提起がなされたそうだ。 「バブル」とは、高度成長が続いた昭和時代を否定した言葉で、そのあくせく働くような無制限な成長神話にピリオドを打ったのが「バブル崩壊」であり、この平成に入ってからは成長が止まり、未だに国民は低成長に甘んじている。

 「格差」が拡大するということは、金持ちや資産家が増えるということで、「格差」が縮小するということは、金持ちや資産家が減るということであり、「格差社会」を望まないということは、金持ちや資産家がいない社会を望むということで、それでは経済は縮小するしかない。

 経済には、成長か後退しかなくて現状維持はなく、「バブル時代」と言って昭和時代のような成長を否定していれば、世界から少しずつ取り残されるしかない。

■残酷な個別化の浸透
 昭和時代は、良しにつけ悪しきにつけ国民は家族や社会のために頑張ってきたが、敗戦の苦労もあってか、戦後の大人たちは自分がしてきた苦労を子どもたちには負わせまいとして、子供たちには自由を与えた。 自由を与えられた子供たちは自由闊達に好きなことをして家族や社会により貢献したが、その子供たちにはもっと自由を与えた。

 生まれながらにして豊かな生活をし自由を与えられた、その子どもたちの一部はさらに活躍をして社会貢献したが、多くの子どもたちは自分さえよければ良いという「個別化」に走っていき、自分の人生がうまくいかないのは周りや政治のせいにする風潮が生まれ、自助努力をしない者が徐々に増殖して日本中に拡散した。

■「自然」ってなに?
 福岡県の高校生約1600~1700人を対象に、2001年から2013年に実施した調査結果によれば、「日本の文化や伝統は他の国よりも優れている」を肯定する者や、「行事の際に国歌・国旗を用いるべきだ」を肯定する者は、いずれもほぼ倍増しているそうだ。
(友枝敏雄編「リスク社会を生きる若者たち 高校生の意識調査から(大阪大学新世紀レクチャー)」)

 天皇陛下の人徳もあってか「象徴天皇」が国民に根付いてきて、「自然」にそのような気持ちに傾いてきたのだろうか。 これからの日本人は、「象徴天皇」のもと、日本の文化や伝統とともに国歌・国旗に誇りを持ち、格差社会から逃げず、高度成長に向けて努力し、自分だけでなく、周りの人のことも考えながら生きていける人でありたい。

朝日新聞 社説:「平成の30年 それでも、確かなことは