建設石綿被害 救済の制度作りを急げ

Last-modified: Wed, 10 Oct 2018 22:37:26 JST (2042d)
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(2018.10.4)
 建設資材に含まれるアスベスト(石綿)の粉じんを吸いこみ、中皮腫や肺がんなどを患った建設労働者や遺族が起こした集団訴訟で、国や建材メーカーに賠償を命じる判決が続いているそうで、国が石綿を含む建材の製造を禁じたのは2004年だが、先月の大阪高裁判決は、国は遅くとも1975年には防じんマスク着用などを義務づけるべきだったとし、発がん性が確かになった1991年には石綿を含む建材の製造を禁止するべきだったと指摘したそうだ。

 国の責任を問う裁判は2008年から各地で起こされ、賠償を命じる司法判断は2012年12月の東京地裁以来、今回の大阪高裁で10件連続になったそうだが、建材メーカーについても、今回の大阪高裁を含め、警告表示をしなかった責任が近年、認められるようになってきているそうだ。

 国に責任がないとは言わないが、国の動きとは関係なく、真っ先に責任を問われるべきは危険な商品を作った建材メーカーであり、国が禁止しなければ何を売っても構わないということがあってはならない。 建設業者にしても、国からの指導を待たずに、自主的に防塵マスクを着用したり、危険な商品の購入中止をしたりすべきで、国が禁止しなかったからとか、メーカーが販売してきたからというのは、本来言い訳にはならず、建設業界の甘えというか、ずるさだと言われても仕方がない。

 国の禁止などが遅れた背景として、遠慮も含めた建材メーカーや建設業界との癒着なども考えられ、単に税金で対応すれば済むというものではなく、なぜ遅れたのかの問題点の究明も並行して行うべきだ。

朝日新聞 社説:「建設石綿被害 救済の制度作りを急げ