捜査と証拠 ずさんな取り扱い正せ

Last-modified: Tue, 26 Feb 2019 21:37:14 JST (1903d)
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(2019.2.25)
 東京地裁は先日、手術後に患者の女性にわいせつ行為をしたとして起訴された男性医師に、検察が立証の柱にした、女性に付着した微物から検出した医師のDNAの型や量があまりに不適切な扱いによって証拠能力がないとして、無罪を言い渡したそうだ。 鑑定経過記録が訂正可能な鉛筆書きであったり、再鑑定できないように鑑定で使用したDNA溶液の残りを破棄したりするなど、何度も通達は出しているようだが、ずさんな証拠物件の保管や記録がなされているものが多々あるようだ。

 自白偏重からの脱却が求められ、遺留品や鑑定結果をはじめとする客観証拠の重要さは増しており、アリバイ作りのような通達だけで済ませるのではなく、証拠の重要性や適切な保管の仕方など、地道な指導や教育と仕組みが必要だ。 警察や検察も、多発する犯罪を抱え、しかもそれぞれにたくさんの証拠物件が存在すると思われるので、ご苦労だとは思うが、しっかりとした収集とITなどを活用した組織的、効率的で確実な保全と定期的な監査などをしてほしい。

 近年、いろんな省庁で発生している書類の改ざんや紛失、統計不正など、公務員への信頼が落ちているので、警察や検察でも信頼の回復を期待する。

朝日新聞 社説:「捜査と証拠 ずさんな取り扱い正せ