教科書の進化 「格差」を縮める道具に

Last-modified: Sun, 07 Apr 2019 22:40:16 JST (1863d)
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(2019.3.28)
 2020年度の検定に合格した小学校の教科者の9割に、スマホなどの端末をかざすと教科書会社のサイトにつながり、用意された動画教材などを視聴できるQRコードなどが付いているそうで、これにより、静止画の写真掲載しかできなかった教科書で、動画や音などの掲載も可能になるそうだ。

 5年生から正式教科になる英語の発音やアクセントを家庭でも繰り返し確認できるなど、家庭での学習にも役に立つことになるが、スマホを持っている子供と持っていない子供との不公平が発生することにもなる。 子どもにとってスマホが贅沢品なのかどうかは知らないが、これを機会に子供向けのスマホの開発が盛んになり、安価でより安全なスマホが開発・普及されれば、教科書の軽量化につながったり、より分かりやすい教科書が作成されて、教師の負荷も軽くなったりするようであれば、歓迎すべきことだ。

 新指導要領では、高学年を中心にプログラミングも扱うようになるようだが、子どもの家庭の経済負担をおもんばかって教育現場の高度化や効率向上の足を引っ張るようなことがあってはいけない。 低所得者層の子供に対しては、それなりの補助を行うなり、学校や図書館などで学習環境を補完するなどすればよいことだ。

 これからの世代には、情報機器を十分に使いこなせるようになってほしいし、教育現場の高度化に向けた指導の改革は是非今後も行ってほしい。 学習塾産業には申し訳ないが、普通の子どもが学習塾へ通うのが当たり前の学校教育は何か間違っているのではと思う。

朝日新聞 社説:「教科書の進化 「格差」を縮める道具に