日ロ条約交渉 拙速な転換は禍根残す

Last-modified: Thu, 22 Nov 2018 23:54:36 JST (1999d)
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(2018.11.16)
 安倍首相とプーチン大統領が会談し、1956年の日ソ共同宣言を「基礎」として、大戦後の国交を回復させたもので、北方4島については歯舞群島と色丹島の引き渡しだけが約束されている、平和条約交渉を進める、と合意したそうだ。 日本政府はこれまで、4島の帰属の問題を解決してから平和条約を結ぶ方針を貫いてきたので、方針変更ということになる。

 領土問題は、国の根幹にもかかわる重大案件だが、ここまで長引いた北方4島に関しては、中国の脅威などが存在する昨今では、平和条約の締結の優先度は高い。 北方四島の元島民や北海道が求めているのは、必ずしも4島帰属の問題の解決というより、自由に墓参りができ、自由に経済活動など生活ができ、沿岸での自由な漁業活動ができれば、あとは、隣国との平和条約が締結されていれば、それでよいのではないだろうか。

 平和条約の締結をすると、どのようなメリットがあり、どのような問題の発生の可能性があるかを、政府として事前に考え、そのための備えをして、締結すればそれでよい。 領土問題という意味では、樺太、千島列島および北方4島を特別区として、日本人およびロシア人が、お互いに自由に経済活動と墓参を含めた居住が自由にでき、漁業もできるように早急にすべきだ。

 日本政府は、樺太や北方4島へ自由に行ける鉄道や橋など、平和条約の証というか形として見えるくさびとして、北海道との連結を早急にすべきだ。 この特別区での軍備については、日米ロの3国で、協議のうえ、進めることも忘れてはいけないが、これが安倍首相にできるかどうかは知らないが、トランプ大統領とプーチン大統領の在任期間中がチャンスだ。

朝日新聞 社説:「日ロ条約交渉 拙速な転換は禍根残す