日本とアフリカ 共に発展する伴走者に

Last-modified: Mon, 26 Aug 2019 22:57:18 JST (1707d)
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(2019.8.26)
 アフリカ東部の主要国ケニアは、都市部の出稼ぎ労働者が農村の家族に少額の送金の利便のために、銀行口座がなくても携帯電話で送金や決済ができるキャッシュレス社会になっており、電子マネーの取引額はGDPの約半分だそうだ。 アフリカでは、ドローンによる輸送や、携帯アプリによる農産物管理など、新技術が一足飛びに普及しているようだ。 日本などの先進国は、アフリカを先端技術の実験場にしようとしているのかどうかは知らないが、技術支援をしているつもりが、気がついたら日本は技術後進国になっていたということにならないように気をつけていただきたいものだ。

 2019年5月には域内の関税撤廃などをめざす自由貿易協定も発効し、巨大な統一市場への期待も膨らむようだが、この指導をしているのが、EUか中国かは知らないが、非常に危険な協定だ。 指導が中国であれば、アフリカ大陸全体を中国傘下にするための布石だと覚悟する必要があるだろうし、EUであれば、EUと同じ轍を踏むことを覚悟しなければならない。 EUの失敗は、弱者連合ということもあるが、個々に独立な政権を維持しつつ、経済だけを統一するという一見いいとこ取りの協定にある。 EUを見れば分かるように、これでは問題点が発生しても、域内で統一した政策を進めることもできない。

 特に域内統一通貨については、円やドルに統一するというのであればよいが、EUのような独自通貨を持とうとすると、頑張った強い国とそれほど頑張っていない弱い国に通貨格差をつけることもできないので、強い国は良いとしても、弱い国はより弱くなるだけである。 外部の先進国が強制的に国境を引くのもいけないが、自国管理可能な政権単位毎に発展させることを原則として、状況を見ながら互いの障壁を可能な限り下げていけばよい。 この指導ができるのは、日米ぐらいしかない。

朝日新聞 社説:「日本とアフリカ 共に発展する伴走者に