日本経済のこれから 目指す社会像の再確認を

Last-modified: Tue, 08 Jan 2019 23:50:10 JST (1953d)
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(2019.1.4)
 世界の金融市場は、株価下落が続くなかで2018年を終えたが、日本経済も消費増税を控えるなど、中長期的に経済の下降が予想される。

■国際化の局面変化
 日産のカルロス・ゴーン前会長は異常だとしても、頑張った経営者が高い報酬を得ることは、経済の活性化にとっても良いことだが、外国人労働者の参入は、経済の拡大に寄与するのか、混乱を呼び起こすだけなのかが大きな課題だ。

 冷戦終了後、グローバル化の名のもとに日本は欧米のやり方を押し付けられてきたが、トランプ大統領の出現から、グローバル化に見直しが掛かり、米国はアメリカファーストを唱えてきているが、日本も日本ファーストとは何かを自ら考える機会を得たので、日本は、欧米の真似ではなく、ビジネスにおける日本らしさ日本の良さを、ここで見直すべきだ。

■「成長戦略」の限界
 戦後の大人たちは何もない状況から必死に復興を遂げると同時に、次世代の子どもたちに自分たちのようなつらい思いをさせまいと自由闊達に育て、一部のトップクラスの子どもたちは世界に躍り出たりしたが、多くの子どもたちは自分勝手に楽をすることだけを考えるようになり、政治家であれ、官僚であれ、サラリーマンであれ、各所で、今まででは考えられなかったような自分勝手な不正などが横行してきた。

 企業は、高度経済成長をバブルと言って潰し低成長に甘んじ、それでも足りなくて、品質不正や粉飾決算をしてごまかそうとし、一部の頑張る人に対しては、格差是正と言って足を引っ張る。 政治家や官僚は、消費増税を繰り返して、お金を浪費することに生きがいを感じ、挙句の果てに、積み立てた年金や議事録などを捨てたりして、ごまかしてきた。
 現状で満足するのではなく、成長を取り戻し、頑張った人が報われる日本を取り戻すべきだ。

■格差や独占を超えて
 不平等とは、頑張った人も、頑張らなかった人も、同じような報酬を得ることだったり、生産性が高くて定時に帰る人より、生産性が低くて遅くまで光熱費を使って残業をする人の方がたくさんの報酬を得ることを言う。

 最低賃金をむやみに上げるのも、雇う側からは雇用の柔軟性の喪失となり、雇われる側からは雇用機会の減少となり、いずれも良いことではない。 外国人労働者の参入も考慮すると、労働者の多様性が増すので、むしろ最低賃金は下げる必要があるかもしれない。
 機会平等は推し進める必要があるが、結果平等は社会主義に陥る懸念があるので要注意だ。

朝日新聞 社説:「日本経済のこれから 目指す社会像の再確認を