日産の不正 企業体質の転換進めよ

Last-modified: Sun, 25 Aug 2019 22:31:08 JST (1723d)
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(2018.7.11)
 日産自動車で、出荷前の抜き取り検査のときに、排ガスや燃費の測定をめぐるデータを書き換えるといった事例が、国内5工場で横行し、検査した車の半数以上にが対象になるという新たな不正が見つかった。 日産は昨年9月に完成車の無資格検査が発覚し、国土交通省による業務改善指示を受け、社内調査で、長期にわたる大規模な不正が判明し、西川広人社長は11月の会見で「信頼を裏切ることになった」と謝罪したが、日産のデータ不正はそうした事態の最中も絶えることなく、先月まで続いていたことになる。

 今回の不正会見には、西川社長は出席せず、日産でものづくりのトップを務める山内康裕CCOが会見で、「コンプライアンス意識が希薄だった」「職務の実態把握が不完全だった」と述べた。 社内の基準値は(国の)保安基準に対して厳しく設定しているので、書き換えても法律に抵触せず、カタログ上の性能は満たしていたという。 すべての車がカタログ性能を満たしていることの確認がなされたのかどうかは知らないが、日産はなぜそのような厳しい基準を設定していたのか。 その背景が社内に徹底されていなかったか、無理な基準を設定していたか、などが考えられるが、まずその実態調査を行う必要がある。 このような組織の場合、一般には他の基準にも同様なことが行われているケースが多々あるので、少なくともすべての基準について、社長の責任で実態調査を行う必要がある。

 コンプライアンス意識が希薄だったそうだが、西川社長は、社内のコンプライアンス対応としてどのような強化策を取っていたのか。 製造の責任者は山内CCOかもしれないが、コンプライアンスの最終責任者は西川社長だ。 不正がいつ始まり、どのようにしてほとんどの工場で常態化したのかなど、詳細を明らかにし、場合によっては、前社長のゴーン会長にも説明および、再発防止策の約束もしてもらう必要があるのでは。

朝日新聞 社説:「日産の不正 企業体質の転換進めよ