沖縄慰霊の日 苦難の歴史に向きあう

Last-modified: Wed, 18 Sep 2019 17:14:43 JST (1700d)
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(2018.6.23)
 米海兵隊トップのネラー氏は先月初め、米国防総省での記者会見で「普天間飛行場の建設当初の写真を見ると、数キロ以内に住む人はいなかった。 今は市街地がフェンスのすぐ近くに広がる」と述べたという。 この発言に対し、宜野湾市議会は6月定例会で「事実に反し、沖縄の歴史に対する無理解からくるもの」との抗議決議を全会一致で可決した。

 3年前には、自民党の勉強会で、百田尚樹氏が「もともとは田んぼの中にあった」と講演している。 天間飛行場は、他の多くの基地同様、役場や学校、住宅などがあった土地を米軍が奪って造ったものだからと言って、それらを事実に反した明らかな誤りだとは言えない。 沖縄戦で住民を巻きこむ激戦があったり、その後の米軍占領下で過酷な生活を強いられたからと言って、建設当初に現在のように多くの人が住んでいたことにはならない。

 ネラー氏発言の背景が分からないので、表現が適切だったかどうかは分からない。 沖縄の方々にはいろいろな苦労を押し付けていることは事実だが、日本に代わって国境警備をしてもらっている米海兵隊に対する配慮も必要だ。 73年前に戦った敵と共に生活する苦痛は計り知れないものがあるかもしれないが、もっと怖い「現在の敵」が近隣にいることも認識しなければならない。

朝日新聞 社説:「沖縄慰霊の日 苦難の歴史に向きあう