法科大学院 改革後もなお残る課題

Last-modified: Fri, 15 Mar 2019 23:22:09 JST (1886d)
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(2019.3.14)
 2004年、法律家の量と質を確保することを目的に、受験技術の習得に走りがちだった旧司法試験の反省を踏まえて、学ぶ「プロセス」を重視し、幅広い視野を持つ人材の養成をめざした法科大学院制度が始められたそうだが、大学の法学部を3年で卒業して法科大学院(2年)に進む「法曹コース」を新設したうえで、大学院在学中に司法試験を受けることも認めるという、受験資格を得るまでの期間をいまより2年短縮するなど、法律家を養成する法科大学院と、司法試験のあり方を見直す法案が閣議決定されたそうだ。

 確かに学生時代に幅広い視野を身につける人材が育成されるかもしれないが、文部科学省などが大学制度を細工したぐらいで良い環境が準備できるものではなく、それが大学で身につくとは普通、学生や保護者は期待していない。 学生が大学へ行く目的は、社会人になる時期を遅くして少しでも遊びや学問をしながら、自分のやりたいことを模索するということもあるが、主目的としては、学歴と資格が欲しいからであり、副次目的としては、教養や人脈を身につけることだと思う。

 真に幅広い視野を持つ人材の養成をめざしたいのであれば、大学院などを作らずに学生を早く社会に出すことであり、大学院などで人材を育成したいのであれば、大学教授も積極的に参加してのインターンシップなど、実戦経験を大学で積ませることであり、司法試験などの受験を遅らせることではないだろう。

朝日新聞 社説:「法科大学院 改革後もなお残る課題