海の生態系 「真の保護区」を広げよ

Last-modified: Sun, 03 Feb 2019 15:03:01 JST (1927d)
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(2019.1.30)
 中央環境審議会が、海の生物多様性を守るため、沖合に海洋保護区を設けるべきだという答申を原田環境相に提出したそうだ。 9年前に名古屋市であった生物多様性条約締約国会議で、「2020年までに海域の10%を保護区にする」ことが、「愛知目標」の一つとして盛り込まれているそうだ。

 世界各国の領海・排他的経済水域の17%近くが保護区になり、来年には24%を超える計画だそうだが、日本の保護区に関しては、水深が深いところが多いためか、8.3%にとどまっており、主要国の中で対応が遅れている国だそうだ。

 島国日本は、領海・排他的経済水域の海水量で言うとどれだけの割合を示すのかは知らないが、面積だけでも世界6位の広さがあるそうで、生物多様性条約締約国会議がどういっているかは別として、沖合域の深海や熱水噴出孔周辺など領海・排他的経済水域での海洋調査・保全は必要だ。

 海底資源調査、生物多様性調査、漁獲状況調査そして潜水艦等船舶航行状況調査など、レベルや目的は様々だが、省庁縦割りではなく、各省庁横断型で効率よく、領海・排他的経済水域を可能な限り把握して保全する必要がある。

 環境省は通常国会に法律の改正案を出し、海底を乱すような資源開発や漁業などを規制する保護区を新設することも検討しているそうだが、関係省庁が連携し、国全体として、どの領域の海底資源調査を行い、どの領域の生物多様性調査を行い、どの領域の漁獲状況調査を行い、どの領域の船舶航行状況調査をどの程度行うかの、重点地区を国の戦略として総合的に優先順位付けしていく必要がある。

 生物多様性条約締約国会議の目標を無視するのは良くないが、無駄に縛られすぎてはいけない。

朝日新聞 社説:「海の生態系 「真の保護区」を広げよ