科学研究 「負の連鎖」を断つには

Last-modified: Sat, 20 Oct 2018 23:23:29 JST (2032d)
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(2018.10.15)
 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった京都大学特別教授の本庶佑さんが、賞金をもとに若手研究者を支援する基金を設けるそうだ。 ありがたいことだ。

 官僚がどこの大学、どの研究に投資すれば良いかが分かるわけもなく、大学に運営費交付金の増加をするといっても、すべての大学に一様に増加させるわけにもいかず、特に基礎研究の場合、成果が出にくいので評価も難しく、論文数だけで評価するわけにもいかない。

 世界で注目される論文数など、いくつかの指標を作って評価し、交付金額を決めると同時に、研究成果が本人や大学に報われるような仕組みを構築する必要がある。 研究成果が何ら評価されず、成果を海外に持っていかれたり、研究者を潰してしまったりするようではいけない。

 アスリートの世界は、今、何かと問題を起こしたりしているが、それでも科学研究者の世界よりもましだと思えるので、アスリートの世界に学んで、企業などとの連携ができるような環境を構築してほしい。

 今、ノーベル賞を受賞している日本の科学者たちは、日本の高度成長期の昭和時代の方々だが、日本が低迷を続けている平成時代では海外から注目される論文数、シェアともに低下しているそうだ。 日本が低迷しているので、大学への人件費や研究費が少なくなったことがその一因だとも考えられるが、研究者も含む日本全体が向上心をなくしかけているから、日本が低迷しているとも言えるのでは。 低迷は、平成とともにそろそろ終わりにしたい。

朝日新聞 社説:「科学研究 「負の連鎖」を断つには