米ロの核条約 軍縮の義務を忘れたか

Last-modified: Tue, 05 Feb 2019 22:32:46 JST (1924d)
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(2019.2.3)
 米ロで禁じられている射程の核戦力を、条約を結んでいない中国が着実に増やしてきている現状を踏まえ、1987年に米ソが結んだ中距離核戦力全廃条約からの離脱を、米国はロシアに正式通告すると表明したそうだ。

 20世紀後半、米ソが冷戦状態にあったが、米国の勝利により冷戦は終了し、ソ連が崩壊してロシアその他の国々に分かれ、大国米ロはお互いに無用な軍拡を止め核軍縮の条約を結んできた。
 21世紀に入って、中国の核軍拡により、今度は米中の冷戦が始まり、米国はやむなく、ロシアとの核軍縮を解除して冷戦に対応せざるを得なくなった。

 米国側の日本としては、中国に不毛な核軍拡を止めさせるよう圧力を掛けることはあっても、不毛とは言え米国に対して核軍拡への圧力を掛けるわけにはいかない。 広島市長と長崎市長が先月末、トランプ、プーチン両氏に核軍縮の要請書を送ったそうだが、そのようなエネルギーがあるのであれば、まず、中国に軍縮の要請を行うべきだ。

 米国は、以前ほどではないものの世界警察を担っており、警察に武器を捨てろと言うのは、世界を無法地帯にしろと言っているようなものであり、広島市長と長崎市長の狙いがどこにあるのかは知らないが、世界平和を希望する者としては、彼らの行動はとても看過できない。

朝日新聞 社説:「米ロの核条約 軍縮の義務を忘れたか