袴田事件再審 釈然としない逆転決定

Last-modified: Sun, 19 Jan 2020 15:31:48 JST (1577d)
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(2018.6.12)
 死刑が確定した袴田巌さんについて、東京高裁は「血痕のDNA型鑑定手法には深刻な疑問がある」と退け、裁判のやり直しを認めない判断をした。 また、もともとの裁判の証拠の正当性にも問題があるようである。

 再審がなされれば、ほぼ無罪判決になるとすれば、容易に再審決定もできないことも理解できる。 日本の刑事裁判の判決のほとんどは有罪であることを考えると、起訴によって有罪が内定し、再審の決定によって無罪が内定することになり、これでは裁判自身の意味はやたら薄いことになりはしないか。

 簡単に起訴されても容疑者が迷惑するが、もう少し起訴や再審のハードルを下げて、裁判での審議に重点をおいても良いのでは。 また、メディアが、逮捕状が出たというだけで容疑者を犯罪者扱いするのも如何なものか。

 今回の事件で、地裁段階で検察側が「ない」と主張してきた証拠物件が、高裁になって一転開示されるという場面があった。 検察側が保有している証拠のすべてを弁護側が知ることができないというのでは、公平な裁判ができない。 無条件開示では問題があるかもしれないが、担当弁護士のみなどの制約をつけての開示などができないものか。

 日本の刑事裁判の周辺だけでも、課題が山積しているようだが、これを機会に見直してほしい。

朝日新聞 社説:「袴田事件再審 釈然としない逆転決定