Tカードと捜査 不信広がる危うい運用

Last-modified: Wed, 06 Feb 2019 21:45:45 JST (1924d)
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(2019.2.4)
 店やサービスを利用するとポイントがたまる共通ポイントカードの大手「Tカード」の運営会社が、捜査機関から照会があれば、裁判所の令状がなくても会員の個人情報を提供していることを明らかにしたそうだ。 これは、違法ではないはずで、「社会貢献」として当然だと言えば当然だが、個人情報保護が軽視されていると言えばその通りかもしれない。

 電話会社は、裁判所の令状なしで捜査機関に情報を提供していたような気がするのだが。 ATMの利用やクレジットカード、通信販売などの利用情報を、金融機関などはどうしているのだろうか。 設置者が捜査機関の防犯カメラの場合は、裁判所の許可を得て設置し、あとは捜査機関は見放題なのか、捜査機関間の情報提供は裁判所の令状が必要なのか。 設置者が捜査機関以外の防犯カメラの場合は、裁判所の令状によって始めて見せることになるのか。 タクシー会社や運送会社のドライブレコーダーなども裁判所の令状で捜査機関に情報を提供しているのか。 マスメディアが裁判所の許可なしに捜査機関や視聴者に犯罪者情報を提供することは許されるのか。 グーグルやアマゾンなど、米国際企業はどうしているのか。

 被害者などが捜査機関に捜査を依頼するときに、被害関連個人情報を裁判所の令状なしに開示してはいけないのか。
 地元捜査機関の依頼で開示するのか、裁判所の令状で開示するのか、何があっても公権力には開示しないのか。
 捜査機関と言えども裁判所令状なしでは開示請求できないとすべきだと思ったりもするが、担当弁護士は開示請求できないのかと思ったり、中国の裁判所令状で捜査機関からの開示請求があっても簡単に開示しないでほしいと思ったりもする。

 インターネット社会においては日本だけでクローズできるものでもないので、せめて日米間で、犯罪協力のための個人情報提供ルールを検討し構築してほしい。
 少なくとも、法律にも触れていない善良な企業が、マスメディアに悪者扱いされて営業妨害されるようなことがあってはいけない。

朝日新聞 社説:「Tカードと捜査 不信広がる危うい運用