IWCと日本 脱退は短慮に過ぎる

Last-modified: Wed, 02 Jan 2019 19:45:28 JST (1958d)
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(2018.12.23)
 日本は国際捕鯨委員会(IWC)が決めたモラトリアム(商業捕鯨停止)に従い、30年前に商業捕鯨をやめ、鯨の資源状態を調べるための調査捕鯨を続けてきたにもかかわらず、事実上の商業捕鯨との批判を受け、2018年9月のIWC総会で、日本はモラトリアムを限定的に解除する提案をしたが否決され、このままではらちが明かないと、脱退に向けた「決意」を示す声があがっているそうだ。

 IWCは、鯨資源の保存および捕鯨産業の秩序ある発展を図ることを目的として設立されているはずで、鯨資源の保存は重要な課題ではあるが、基本的に捕鯨産業を前提としている委員会であるのに、商業捕鯨を否定する国々が幅を利かすようでは、IWCの目的から逸脱してしまっており、脱退を背景にした最終調整段階に入るのは当然と言える。

 自国の意見が通らなければ、国際的な協議の場から出て行くという発想はあまり感心しないが、モラトリアムは、鯨資源保存というよりは、主張国のクジラを食べない文化の押し付けでしかなく、反対に何ら科学性がなく、議論にも限界がある。

 欧米人の、牛の肉は食べても良いが、クジラの肉を食べてはいけないという論理はまったく理解できないが、自分たちの食べるものは、農場なり牧場なりで自分で生産しろ、自分らで養殖もせずに自然に生存している野生生物をただ食料とするのは発展途上国のやることだ、ということを資源保護という言葉で主張しているのかもしれないので、これに対する回答を我々は準備する必要があるかもしれない。

朝日新聞 社説:「IWCと日本 脱退は短慮に過ぎる