ふるさと納税 制度全体の再構築を
係争委の審査内容やふるさと納税制度改正の詳細な内容を把握しているわけではないので、軽々に批判すべきではないかもしれないが、寄付の返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」と改定したのは、制度内容の具体化であり、制度内容の変更をした改定ではない。 一般に法律は、その良し悪しは別として、それほど具体的に記述されるわけではなく、その具体的解釈は裁判官の判断(判例)などに任されているのが通常であり、この場合は、総務省の判断に任されていたが、法律で具体的に示したほうが分かりやすいとして、法律内で明文化したものだと理解している。
総務省が、泉佐野市に対して、事前の指導もなく、いきなり総務省解釈を示して罰したというなら別として、再三の指導を無視してきたということであれば、違法とすることはできないと思うのだが。 法律に明記してないことは違法でないということであれば、裁判において判例に則って判決を下すことなどはすべて違法ということになりはしないだろうか。 必ずしも法律に具体的記述がないことについて、役人の一方的な法解釈から違法と指摘され、見解の相違を苦々しく思った記憶は過去多々あったが、これらはすべて従わなくても良かったということだったのだろうか。
ふるさと納税をしていただいた寄付者に対して、ある程度のお礼をするのは当然のことだと思うが、例え、寄付額の3割であっても、お礼としては多すぎると思う。
基本的な考え方として、「ふるさと納税額(寄付額)」プラス「その他納税額」マイナス「返礼品(お礼額)」が、ふるさと納税をしない場合の「納税額」より少なくなるのは、制度上、おかしいということだ。 言い方を変えると、返礼品の金額の多さでふるさと納税を募ろうとするのはいけないことだ。
ふるさと納税の制度は、高所得者優遇という話もあるが、本来、寄付金というものは、所得に余裕のある人を想定しているが、高額の返礼品を出せるような裕福な自治体は、ふるさと納税制度に馴染まないことをまず認識すべきだ。 それが了解されないようなら、ふるさと納税制度は廃止すべきで、小手先の返礼品対応では解決できない。
(ふるさと納税 返礼品なくしてみては(2019.2.21))
朝日新聞 社説:「ふるさと納税 制度全体の再構築を」