公益通報制度 良心の告発守るために

Last-modified: Sat, 19 Jan 2019 23:13:50 JST (1942d)
Top > 公益通報制度 良心の告発守るために
(2019.1.15)
 組織の不正を内部からより告発しやすくするような、公益通報者保護法の改正作業を進めてきた内閣府・消費者委員会の専門調査会が、昨年末に最終報告書をまとめたそうだ。

 報告書には「従業員300人超の企業に制度の整備を義務づける」「保護の対象を、現役の労働者だけでなく役員や退職者にも広げる」などが明記されたそうだが、安心して通報できる仕組みでなければ対象を広げても何の意味もないが、この対象には、当然近年盛んに問題になっている公務員も含まれるのだろうか。

 通報者の特定と報復は、告発をためらわせる大きな要因だが、通報を受けつける担当者が守秘義務を順守することは不可能に近く、勇気を奮って告発した人の名前などが、不正の当事者や周辺に漏れる可能性は非常に大きく、公益通報者保護法の限界を感じる。

 他のやり方として考えられるのは、メディアなど外部機関に通報する方法だが、通報を受けた外部機関が、通報者を秘匿したままで適切な対応をしてくれるかも疑問だ。

 日産自動車会長の長期にわたる不正疑惑についても、代表取締役と言えども、会長や親会社からの報復を恐れて、何年もかけて不正告発をできずに、結局、外部である検察に通報するしか方法がなかったのではないかと推察する。
(ゴーン会長逮捕 企業統治の不全の果て(2018.11.21))

 組織内での内部告発が完全に秘匿できるような法律があるとは思えず、検察などの外部組織の中に告発窓口を設ける方法ぐらいしか思いつかないが、それでも、不正により罰せられるはずの組織の中で罰せられない者がいれば、その人物が内部告発者ではということになり、完全に秘匿厳守するためには告発者も他の者と同様に罰する必要性が出てくるが、それでも良しとするのか。

朝日新聞 社説:「公益通報制度 良心の告発守るために