勤労統計不正 幕引きは許されない

Last-modified: Mon, 28 Jan 2019 22:37:50 JST (1932d)
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(2019.1.24)
 厚生労働省が設置した特別監察委員会が、「毎月勤労統計」の不正問題について、「統計の正確性に対する認識があまりに軽く、組織としてのガバナンスも欠如しており、言語道断の問題だ。しかし組織的な隠蔽は認定できない――。」と調査報告を公表し、厚労省は元職員を含む関係者22人を減給や訓告にする処分を発表し、厚労相も就任時からの給与4カ月分を自主返納するそうだ。

 監察委を総理大臣直轄ではなく厚生労働省に任せ、中間報告ならまだしも、わずか1週間足らずの調査で「隠す意図はなかった」との評価で報告を完了させるなど、まさに「ガバナンス不在」を物語っており、ここまでくると、単に厚労省だけの問題ではなく、総理大臣を含む政府全体の問題だ。

 監察委は、東京都分を抽出調査に勝手に変えていたというが、監察委の調査自身が、厚労省内の一部に限定した調査で済ませた手抜き調査で、厚労省に反省の色が見られない。

 組織の長が不正を認識し、それを上にあげるなり、公表するなりしないということが「組織的な隠蔽」でなければ、監察委はどうなれば「組織的な隠蔽」だと言うのか。 このような調査発表こそが「組織的な隠蔽」であり、これ以上の調査は、この監察委に任せることはできないので、総理直轄の特別監察委員会を立ち上げるなり、検察に入ってもらうなりすべきだ。

 不正の実行犯より、それを計画し指示した人物こそが主犯であり、主犯が明確にならない限り調査は終わらない。
 この機会に厚労省内の他統計や他省庁の統計も同様に調査すべきで、そのためにも、総理直轄の組織が必要だ。
(勤労統計不正 速やかな解明が必要だ)

朝日新聞 社説:「勤労統計不正 幕引きは許されない