安保法後の防衛大綱 軍事への傾斜、一線越えた

Last-modified: Wed, 26 Dec 2018 23:19:30 JST (1965d)
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(2018.12.19)
 政府がきのう、陸海空にとどまらず、宇宙やサイバー空間などを含む「多次元統合防衛力」をめざすとともに、これまで抑制してきた自衛隊の打撃力を拡大するような、安倍政権下で2度目となる「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を閣議決定したそうだ。 年明けの通常国会で、徹底的な議論が行われるようだ。

■「盾」から「矛も」へ
 憲法9条のもと、日本は専守防衛を原則としており、他国から攻撃を受けた場合、自衛隊が「盾」となって防御し、「矛」の役割を担う米軍が反撃するのが役割分担だったそうだが、日本の周辺にますます脅威が増大し、米国の相対的国力が弱体化している今日、役割分担を見直す必要に迫られている。

 自衛隊の「盾」だけで日本の専守防衛が可能だというのは幻想でしかなく、極東平和のためにも、抑止力としての「矛」を強化する必要があり、他国依存のみでは済まされなくなって来ており、日本の打撃力は、抑止力としても、他国から攻撃を受けた後の素早い後処理としても必要になってきている。

■宇宙・サイバーまで
 北朝鮮とは和平の話をしようとしているが、そのためにも、防衛力というか打撃力も強化する必要があり、中国も同様だ。 宇宙状況監視システムやサイバー防衛隊こそ、これからの「盾」であり、専守防衛のためには必須の課題であり、米国に任せておけば良いというものではない。

■政治的な対話こそ
 急速な人口減少と少子高齢化、厳しい財政事情は、国力を弱めるだけであり、日本は、人口の増加策や少子化対策、財政再建を実現していく必要があり、いままで防衛費を投資してこなかった分、これからは中国ほどではないにしても、身の丈に応じた防衛費を負担する義務がある。 兵器を買いそろえることも必要だが、自力で開発・製造できる力を持つべきだ。

 盛んに緊張感を高めてくる周辺国に対して、ただ「遺憾である」を連発するだけでなく、外務省は外交努力で、経済産業省などは貿易で、防衛省は抑止力で、連携しながら対応していく必要がある。
(防衛概算要求 歯止めなき拡大路線(2018.9.1))

朝日新聞 社説:「安保法後の防衛大綱 軍事への傾斜、一線越えた