日ロ平和条約に向け 歴史検証に堪える交渉を

Last-modified: Sat, 19 Jan 2019 23:16:12 JST (1942d)
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(2019.1.16)
 安倍首相とプーチン大統領の合意による、両国外相を責任者とする新しい枠組みでの初会合となる交渉がモスクワで開かれたが、ラブロフ外相は、「北方領土」という言葉にも苦言を呈し、北方四島におけるロシアの主権をまず認めるよう求めたそうだ。

■国民に説明ないまま
 交渉中に内情を明かさないのは外交の定石であり、領土にかかわる重大な国策だからこそ秘密裏に進める必要があるのは理解できるが、安倍政権に一任して、「二島返還」だけを要求して日ロ平和条約を結ぶことになっても困る。

■未来志向どう描くか
 日ロ交渉には、実利志向と未来志向が必要であり、日本は「四島一括返還」を主張し、ロシアは日本が北方四島の主権を主張するなと言っているのであれば、日本は、北方四島主権の主張を棚上げし、まずは、プーチン大統領がいうところの「無条件日ロ平和条約」を締結し、四島への自由な往来および経済活動を求めればよい。

 どちらに主権があるかなどは未来に任せればよく、当面必要なことは、四島への日本人の墓参などのための自由な往来、北朝鮮や中国包囲網としての平和条約の締結とお互いの国力を高めるための経済協力や経済投資だ。

■国際秩序乱すロシア
 ロシアのクリミア半島の併合を気にする向きもあるが、それはロシアが軍事的脅威を感じたからの行為であり、日本や米国が日ロ国境で軍事的脅威を与えなければ発生しない問題であり、「四島返還」なしの平和条約であればクリミアのようなことが起きるはずもない。 それよりも、北方四島や樺太に日本を排除できないようなウィンウィンな経済基盤を速やかに構築することだ。
(日ロ条約交渉 拙速な転換は禍根残す(2018.11.16))

朝日新聞 社説:「日ロ平和条約に向け 歴史検証に堪える交渉を