白鵬と協会 不当な国籍条項見直せ

Last-modified: Mon, 03 Jun 2019 22:26:07 JST (1791d)
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(2019.4.26)
 春場所千秋楽の優勝インタビューの際、観客に呼びかけて三本締めをしたことが「相撲道の伝統と秩序を損なう行為」として、日本相撲協会が横綱白鵬を譴責処分としたそうだ。 以前「万歳三唱」をして注意された白鵬関だが、「三本締め」がなぜいけないのかを理解しているのだろうか。 八角理事長や宮城野親方は、白鵬関にどのように叱っているのだろうか。

 「万歳三唱」や「三本締め」がどのような意味合いを持っているかを知らなかったのかという以前の問題として、どれだけ優勝していようとも、一力士に「万歳三唱」や「三本締め」を仕切るのは不遜だということであり、どうしてもやりたいのなら事前了解をとるべきであり、それを怠るということは、協会を舐めているということであり、八角理事長や宮城野親方が舐められているということだ。

 このように白鵬関が何をしても許されると勘違いするようになった背景の一つに、貴ノ岩関事件で、白鵬関以下を不問にし、それを不服とした貴乃花親方などを追放した八角理事長をはじめとした協会の対応にあると考えている。 貴乃花親方にも問題がないわけでもないし、白鵬関にも良いところもあるとは思うが、これらをうまくまとめる力量というかマネジメント能力が、八角理事長たちにないということだ。

 日本相撲協会には、「大相撲興行の運営」と「大相撲力士の育成」という、大きく二つの機能がある。 「大相撲興行の運営」は、単なるスポーツ興行ではなく、日本の伝統文化に則ったものである必要があるので、日本の伝統文化を尊重し、継続の意志を持った、マネジメント能力のある人で運営される必要があり、力士経験者である必要は必ずしもないが、日本国籍の制約があってもよいのではと考える。
 「大相撲力士の育成」は、大相撲の伝統文化を踏まえて力士を育成輩出するものであり、大相撲の伝統文化や力士としての技術を分かっている必要はあるが、日本国籍を持つ必要は必ずしもない。

 今の協会は、この二つを分けずに考えており、なぜ日本国籍が必要かの説明もできないし、ただ元横綱というだけで、マネジメント能力もなく、コンプライアンスをどこまで理解しているかも分からないような者が理事長に就任して、協会を混乱に陥れている。 日本サッカー協会や日本野球機構などに、日本国籍条項があるのかどうかは知らないが、日本相撲協会は、もう少し他のスポーツを参考にし、守るべきものは守り、変えるべきところは改革していく必要がある。 今の協会にその力量があるとは思えないので、スポーツ庁なり、日本プロスポーツ協会なりの強力な指導が必要だ。

 早急にこれを行わないと、そのうちに日本相撲協会は、モンゴル相撲協会日本支部になってしまうだろう。
 歴史ある日本の大相撲を柔道のようにしてはいけない。
(スポーツと暴力 今度こそ根絶をめざせ(2018.11.11))

朝日新聞 社説:「白鵬と協会 不当な国籍条項見直せ