空港と災害 関空の検証が問われる

Last-modified: Thu, 29 Nov 2018 17:23:47 JST (1992d)
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(2018.9.26)
 台風21号による浸水被害で機能停止に追い込まれた関西空港は、旅客ターミナルビルが全面的に復旧し、貨物関連を除くとほぼ通常の運航に戻ったそうだ。 海を埋め立てた空港島と対岸を結ぶ連絡橋が損傷して通行できなくなる事態の想定が甘かったとは思うが、関西空港が孤島と化したのは、台風が来るというのに、付近に停泊していて橋にぶつかったタンカーに問題がある。

 タンカーの自己責任とは言え、命令ではなく避難推奨しかできない海上保安庁の権限にも問題はないだろうか。 電源設備等重要施設が地下にあることには問題があるとは思うが、関西空港とのアクセスを連絡橋のみに頼るのは建設費の面からみてやむを得なかったと思われるので、そこを問題視するより、連絡橋を使えないような万が一の対応として、連絡船の手配などそれなりの代替手段を考慮して良しとすることでよいだろう。

 関西空港は1994年の開港後、地盤沈下や浸水被害を受けて護岸のかさ上げ工事を重ね、「50年に1度の高波も抑えられる」としてきたそうだが、「100年安心な年金」の例を出すまでもなく、役人の無責任さは今に始まったことではなく、算出根拠や算出責任を確認する必要はあろう。

 関西空港の体制が複雑なことも問題点の一つかもしれないが、問題は、よく言われる責任範囲の不明確さとか、グレーゾーンの譲り合いだと思うが、民間業者に委ねたことのせいにしてはいけない。 天下り先の確保としての民営化であれば問題かもしれないが、これを機会に民営化にブレーキが掛かるようなことがあってはならない。
 台風24号が日本列島を縦断するといわれているが、関西空港他は大変だろうが踏ん張ってほしい。

(北海道地震 まず人命救助に全力を(2018.9.7))

朝日新聞 社説:「空港と災害 関空の検証が問われる