迫りくる脱炭素時代 政治主導で未来像を描け

Last-modified: Fri, 11 Jan 2019 22:39:32 JST (1949d)
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(2019.1.7)
 金融機関が石炭や石油など化石燃料への投資から撤退し、業務で使う電気を太陽光や風力などの再生可能エネルギーでまかなおうとする企業が増え、ガソリン車から電動車への転換を促す規制策を、英仏や中国が打ち出す――、このような大転換期を日本はどう乗り切っていくのかを真剣に考えねばならないようだ。

■時代に逆行する国
 台所を例に出すまでもなく、一般的にエネルギーは、薪から石炭、石油、ガス、そして電気へと移行しており、それは利便性が高いからにほかならない。

 自動車も同様で、蓄電池などの問題をクリアできれば、電気自動車の方が良く、中国やEUが電気自動車にしようとしているのは、ガソリン車では日本に対抗できないから、電気自動車という新たな土俵で振り出しに戻して、開発競争をしようとしているだけで、脱炭素化はそのための理屈でしかない。

 日本はそのことを冷静に認識して、電気自動車の土俵でも戦えるよう、世界の変化に対応していく必要がある。

■長期戦略で決意示せ
 公害などには気を付ける必要はあるが、発電所で石炭を使用して安く安定的な電気を作れるなら、それはそれで問題なく、中国その他が、石炭火力発電所を切り替えようとしているのは、公害対策と石炭依存度を薄めるためであり、脱炭素化などは建前でしかない。

 再生可能エネルギーの問題点はまだ出ていないというだけであり、脱炭素化というだけで、過度に依存度を高めることは慎重にする必要があるが、長期戦略として多様なエネルギー政策を開発することは大切なことだ。

■「環境先進国」は幻想
 他国は、脱炭素化を謳い文句に、日本の公害対策や省エネ技術を反故にしようとしているだけであり、日本はそのことを認識して、海外の動きに対応していく必要がある。

 多様なエネルギー戦略や海外の脱化石燃料化対応、利便性の高い生活などを考慮しながら、日本のエネルギー戦略を立てればよいのであって、脱炭素化そのものを重点に戦略を立てると方向性を間違える。
(気候変動会議 パリ協定始動へ道筋を(2018.11.29))

朝日新聞 社説:「迫りくる脱炭素時代 政治主導で未来像を描け