改正入管法成立へ 多くの課題を残したまま

Last-modified: Mon, 17 Dec 2018 23:32:46 JST (1974d)
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(2018.12.8)
 少子高齢化に伴う人手不足が深刻化するなか、外国人労働者の受け入れ拡大を図る出入国管理法改正案は、政府与党の強引な国会運営で成立する見通しとなった。

■思惑先行の果てに
 業種を特定することは、一部業種に政府が肩入れすることになる危険性があるので、業種を絞り込むことは必ずしも必要ないが、おおよその人数目途ぐらいはあっても良いと思うが、法律で決める問題でもないとは思う。

 出入国管理法改正案では中長期に日本で働く方を想定しているが、技能実習制度では短期間、日本で実習する方を想定してるのだろうが、実習終了後は、母国で働こうが日本で働こうが、その時点での本人の自由ということで構わない。 政府は、あいまいな答弁を繰り返すのではなく、明確に、技能実習制度との関係や違いを丁寧に説明する必要がある。

 出入国管理法改正案とは直接関係がないかもしれないが、スムーズな国会運営のためにも、来年に運用を目指すためにも、現状の技能実習制度の運用上の問題点を深く調査し、出入国管理法に生かせる反省点があるとすれば、現時点での反省点を説明すべきだし、技能実習制度独自の課題や反省点の説明も必要に応じて説明する誠意も必要だ。

■無にされた教訓
 これからの経済をより発展させるためにも、外国からの出稼ぎ労働者に頼らなければならないと考えるが、外国人受け入れ先進国で、問題点が発生しており、外国人受け入れ実績の少ない島国日本としては、慎重に実施していく必要がある。 外国人受け入れ実績の豊富な国々の教訓がどこまで参考になるかは分からないが、無視すべきではなく、日本としては、やはり、技能実習制度の教訓を活かすべきだ。

 人数目途には注意を払い、地域では暖かく受け入れ、外国人が孤立して、特定地域に押し込めるようなことがないように留意する必要がある。 政治制度が全く異なる共産国などからの受け入れは避けるのが賢明だ。

■求められる抜本対応
 外国人労働者を受け入れる際に行われる試験などについては、技能習得度だけでなく、日本語や生活環境の修得度なども重要であり、それら修得状況の把握や支援体制も構築しなければならないので、受け入れ先や受け入れ自治体を特定し、一部地域から始めていくことになる。

 政府側も受け入れ先や自治体・住民に丸投げすることなく、マイナンバー管理し、国として責任をもった支援体制を構築すべきだ。 マイナバー提示のない者の雇用は不法雇用として厳しく罰することができるようにする必要がある。
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朝日新聞 社説:「改正入管法成立へ 多くの課題を残したまま